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キャロウェイ




キャロウェイ


 キャロウェイは、カリフォルニア西海岸を南北に走るハイウェイを、ロサンゼルスを超えてサンディエゴの方へ向かって行くと、あのキャロウェイのロゴが付いた、巨大なワイナリーがある。ゴルフメーカーのキャロウェイは、そのワイナリーのオーナーが始めたものである。最初は創業者が半分趣味のようなノリで最初は作ったのかもしれない。

 このメーカーの特徴は、 ネックをなくせば重心が下がる という、クラブ設計者であれば誰もが知る事実を全面に出して、ビッグバーサというクラブを世に出してきた<ところにある。初期のメタルだった頃は、だから道具として総合的に本当によくなるの? という懐疑的な部分がマーケット全体に漂っていて、特に日本のマーケットではブランドとしての認知も薄く、あまり売れる状態ではなかったのだが、素材の進化が進んでチタンの時代になったときに、一気に火が着いて売れた。そういう転機を経て、物作りが徐々に良くなっていき、現在のようなブランドがされていった。

 創業時は、シリアスゴルファーではない、年間に3回ゴルフ場に行って、いやぁ〜ゴルフも結構楽しいね、という層のゴルファーを狙って物作りをしていたと思われるのだが、月日が経って、プロモーション戦略の必要も出てきて、プロに用具を使ってもらうようになったことから、プロが使いたいスペックも手掛けるようになっていって、ネックがあるクラブ、ボアスルーでないクラブも併売するようになって、月日と共にネックのないクラブはどんどんなくなっていき、 創業当時の設計思想はモデルが新しくなるごとに消えていった。 今はシャフトも全部突き抜けではなくなったし、設計屋の目から見れば、納まるところに納まったという感じである。

 基本的には スライスしないクラブを作ろう という意図が強く感じられる物作りが特徴 で、練習しなくて真っ直ぐ飛ぶクラブ、スライスする人が使うと真っ直ぐ飛ぶから、その分、飛距離が伸びたようにも見えるので、世のスライサーがどんどん乗っかっていって、ここまで本当に大きくなりましたね。という印象がある。

 一方でキャロウェイはチャレンジする会社という側面もあって、チタンが全盛期で全メーカーがチタンに切り替わった後に、わざわざC4とかカーボンヘッドのクラブを作ったりしていた。確かに曲がらなくて性能はいいという評価はあったんだけれど、チタンの打感というのは気持ちいいのに対して、カーボンの打感っていうのは全然気持ちよくないもので、結局全然売れなかった。それによって何万個の在庫を抱えたという話しもあって、しばらくは経営危機の噂が業界で流れ続けていた。

 現在は当然ながら創業者のキャロウェイ氏は身を引いていて、マネーの流れに絡んで人も送り込まれて、いろいろな意味で会社組織として、ボールを含めた総合メーカーとして生き残っているという状態だ。

 クラブは米国系の安いラインナップと、レガシイを代表とする遠藤製作所が作っている国産系のラインナップがある。米国系が安いと言っても、チタンドライバーが1本$299が相場の米国内において、キャロウェイのクラブは非常に高いものなので、シェアも5番手前後というところだ。実際のところ、キャロウェイ社の売上げシェアの約6割が日本なので、このブランドはほとんど日本で売っていると言っていい。 世界的視点から見ると日本人は異常にキャロウェイが好きだ。 韓国や台湾のゴルファー達が、キャスコやホンマなどのメイド・イン・ジャパンが異常に好きなのとよく似ている。とにかく、このようなブランド力を維持し続ける力はスゴイ。通常は飽きられてくるものなのだが、マニアという人もいるくらいなので、戦略、お見事っという感じだ。レガシィも現在のモデルがどの国で作られているのかは、私はわかっていない。

 私が2000年に本社のあるカールスバッドへ行った時の話しは面白いので紹介しておこう。キャロウェイ、テーラーメイドを含めてサンディエゴ周辺のカールスバッドという地区に本社や工場があるのだが、そういうゴルフメーカーにパーツを供給したい会社は、その界隈にくっついて工場を出している。日本の自動車メーカーの城下町のようなイメージだ。そんな中で「ああ、そこまでやるのか!」と思える話しがあった。

 例えば新しいドライバー5万本という生産計画が出たときに、お付き合いのあるシャフトメーカーに芯金(シャフトを巻く棒)が供給されて、プロトタイプを10種類くらい作らされる。その性能や耐久がテストされて、OKが出た段階で、じぁ〜競争入札しましょうか、という流れになって、一番安い入札をした会社が、一番大量の受注ができる。上から3社くらいまでなら受注ができるのが相場。順位による受注量の比率はかなり違うそうで、しょうがないから各社安く作れるようにいろいろ頑張る。

 問題なのは、その3社なら3社から供給されたシャフトが、 同じ印刷が施されて、同じシャフトとしてヘッドに挿されて流通しているところだ。 もちろん、共通化された仕様はあるのだろうが、それぞれの会社は独立していて設備も違う。巻き方、焼き方だって、それぞれの会社ごとにノウハウや差があるはずなのである。例えばパソコンで、デルやヒューレットパッカード社のメモリーは中を開けてみないと、彼らが世界から買い叩いてきたどのメーカーのメモリーが装着されているのかわからないが、それと同じようなことがゴルフクラブで起こっていたのだ。パソコンなら中を開ければわかるが、さすがに全部同じプリントがされている、このシャフトの素性は我々には追えない。こういう物を消費者に出すことに抵抗がないのかな? という純粋な疑問と共に、マネーのためならここまでやっちゃうんだ、という驚きというか、何というか、複雑な気持ちで一杯になった。

 クラブに表示されているロフトの数字と、リアルロフトを大きく変えて世に出したのも、もとを辿ればキャロウェイだった。それを意図していたのかどうかはわからないが、9.5°の表示が実際には11°前後ばかり。逆に8°に立ってズレているクラブはなかったので、やはり意図していたものと考えられる。一時期様々な分野で世間を騒がせた偽装表示ではないが、実際とは違う物が表示されている道具を世に出すという決断をすることに、この会社はストレスはなかったのか? どういう感覚なのか? という疑問があった。

 数字に対して適正な尺度を持っているゴルファーほど犠牲になるこういった表示方法は、いかがなものかと思う。

 キャロウェイは、シャフト脱着式のデモキットを量販店に置いていることもあって、それを使って社外シャフトを挿すカスタム化比率が高いメーカーで、カスタム比率がメーカーの中でも一番高く、ドライバーのカスタム比率が、全体の50%を超えるという話しも聞く。 メーカーとしてもそういう方向に入りつつあるから『ヘッド単体でいい物を』というよりも『何に装着しても機能するヘッド』という方向で開発が動いている印象がある。メーカーとしても当然、このシャフトを挿したときはいいが、あれは全然ダメというような特殊なものは出す意味がない。可もなく不可もなく、というヘッド設計に落とし込まれつつある感じだ。









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