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私がヤマハに在籍していた当時の出来事です。バブルが崩壊し、売り上げに陰りがでてくると、事業部長から「技術者も市場を見ろ」という号令のもと、年に2回、大型量販店で販売応援を命じられ、大型店に1週間、販売員として接客をしました。
その当時はブリジストンのJ’sシリーズが全盛で、とにかく売れていました。売れ筋クラブの前にはお客様が立ち止まり、クラブを手に取って感触を確認していました。この当時のプロモデルはプロがそのまま使えるほどしっかりしたもの作りをしていました。厳しいクラブが多かった。現実的に私が見て、体力不足で満足なボールが打てそうにないお客様も多数いらっしゃいました。私は最適と思われるクラブを推薦し、明確な理由を説明すると、なぜか数人のお客様が「説明はわかったけど、迷ったから
今日は帰る!」と言って、帰ってしまったのです。
閉店後、店長に言われました。
「お客さんは目の前にあるクラブを買うつもりで来ているんだ。君の仕事は、そのクラブの良いところをだけを説明して、お客さんの背中を押すことだ。とにかく、お客さんが欲しいクラブを売りなさい。店の外に出てしまったら、またこの店に来る保証はないんだぞ。お目当てのクラブがないお客さんには、ヤマハのクラブを勧めなさい!」
確かに小売業は売らなければ…。しかし、本当にこれでよいのか? この何とも言えない絶望感が、私が独立する引き金になりました。近頃はネットの普及でお客様の情報量は増えていますが、このような販売姿勢は、今も大きな変化はないと感じています。
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