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PING(ピン)




PING(ピン)


 日本のゴルファーも、今やっとフィッティングという意味や意義を感じはじめています。しかし、今から約40年も前から、ゴルファーの身長や体格に合わせたゴルフクラブを提供し続け、フィッティングという概念を貫いている大手メーカーがあります。そのメーカーは、 ヘッドを中国などに外注せずに自社で工場を持ち製造し、外注の組立会社に委託することもなく、自社内でクラブを組み立てています。

 そのメーカーはPING(ピン)です。

 PINGというと、パターメーカーだと思っている方が、まだ日本では多いと思います。当店でもピンのドライバーやアイアンのお話をすると、 「えっ?」 という顔をされるお客様が、実にたくさんいらっしゃいます。意外かと思われますが、PINGは2004年以降、 3年連続アメリカ本国で一番売れているブランド なのです。このことは日本に住むゴルファーにとって驚くべき事実でしょう。

 今はピンゴルフジャパンという現地法人が窓口になって徐々に改善していますが、PINGが過去に委託していた日本の代理店が積極的でなかったこともあって、日本国内でのピンの知名度は今も低いままにあります。しかしこのメーカー、実は凄いことをやってのけているのです。

 ここではクラブの組立の話を例に出してみましょう。一般的なメーカーのアイアンの作られ方はこうです。5番アイアン200本、6番アイアン200本、7番アイアンが200本・・・。このように効率を重視して、同じ番手をまとめて作ります。そしてそのアイアンの山から、5,6,7・・・と番手を拾ってセットにしていきます。もちろん200本ある5番アイアンの精度は、200の中ではバラバラで、相当な誤差を含んでいます。例えば5〜Pの流れが、揃うはずがないのです。

 しかし、PINGは違います。例えば5〜Pのアイアンを重目のバランスで注文すると、 指定のバランスに適した重量の、ヘッドの選別から始まります。 同じ5番アイアンのヘッドでも、それぞれ重量誤差があるので、重めの5番アイアンのヘッドと、軽めの5番アイアンのヘッドというのが存在しているわけです。その中から指定に応じて、重めなら重めの5番アイアンのヘッドを拾い、次に重めの6番アイアンのヘッドを拾いして、番手間の重量誤差を最小限にしながら、オーダーに沿ったクラブを、オーダーされたセット単位で組み立てていきます。選定された6個のヘッドはワゴンに乗せられて、次の組立に移動します。そうやってワゴン単位でいろいろなところを廻されて、1セットのカスタムクラブが出来上がっていきます。組み立てる側としては、とても非効率なことをやらされています。小さな工房ならわかるのですが、アメリカのトップシェアメーカーがこれをやっているのです。

 こうやって組み上げられたクラブには、1本ごとにその人だけの管理製番が刻印されます。この製番はデータとして残り、後に8番のアイアンだけを注文しても、同じスペックでカスタマイズされて、手元に届くのです。

 アリゾナの工場を見学した時の感想は 「あり得ない」 の一言でした。 彼らはゴルファーのために、とても献身的にゴルフクラブを製造、組み立てています。普通、大手ができることではありません。同じサービスが日本でも受けられます。

 えいやぁ〜、で作られた大手有名メーカーのアイアンセットと、カスタムフィッティングをして、それに合わせて作り込まれたPINGのアイアンセット。実のところ、値段は大きく変わるものではありません。どちらがゴルファーにとっていい買い物でしょうか。私がピンを勧めることが多い理由、理解いただけると思います。




2006 PING本社 フィッティング研修レポート


















↑ 見学者一同防護メガネをかけて鋳造(ロストワックス製法)工場へ



↑ この時点でのキズや変形は製品に直結するため、仕上がりは大切。次に溶かした鉄が流れる道の役割を果たすランナーに取り付ける。



↑ これにセラミックを吹き付けていく。ツリーを液体につけ込み



↑ 一定時間乾燥させて、この作業を10回近く繰り返すことでセラミック層が厚くなり、鉄を流し込んでも壊れない強度になる



↑ 流し込む型が完成したので、大きな釜でステンレスを溶かし型の中に流し込みます





↑ ステンレスが注がれた後は台車に乗せて自然冷却します。固まるときにヘッドは激しく収縮しますので、セラミック型にはひび割れが発生します。この収縮を見込んでヘッドのワックスは大きめに製作されています



↑ ランナーにくっいているヘッドを切り離します。複雑な形状なので、これも全て手作業で、結構厳しい仕事です



↑ ランナーから切り離されたヘッドは、フェース面の平滑度を全数検査して、規格より凹凸があるヘッドは大型プレス機でプレスして修正します。なかなか厳格で、台湾のメーカーはここまでしないという印象でした



↑ 我々は、ドルフィン社からピンの本社工場へ移動です。本社前ではピンマンがお出迎えしてくれました。PINGのグリップなのどにマークとして入っているものです。初代のお孫さんが、ゴルフをしているジイジの姿を粘土細工で作った人形が原型になっているそうです。
 工場内に入り、ラインを順番に見学しましたが、撮影禁止で写真がありません。一番感じたことは『小さな部品までも自社で生産するコダワリ』でした。こんなものまで自分で作っているのか! と言う感じです。















































































 2006年1月23日 出発前日になりました。3年ぶりのアメリカです。 天気が心配ですが、何とかなることを期待しています。 ピンの本社はアリゾナ州の州都フェニックスにあります。 田舎町を想像していましたが、ここ数年で急激に開発され人口も増えて、 全米第6の都市になっているようです。 交通量も多いとなると気軽に車を借りて運転することは難しいかもしれません。 とりあえず国際免許だけは持って行きます。

 スケジュール表を見ると朝7:30〜17:30までびっしり埋まっています。 結構ハードな研修になりそうな予感です。

 現地、米国2006年1月22日 の午後6時フェニックス到着。 関東地方の雪の影響で、成田発の飛行機が3時間以上遅れ、それが原因で乗り継ぎ便が上手くいかず到着が大幅に遅れてとにかく疲れた・・・。 翌朝は7:00集合なのでとにかく寝ようとベッドにはいるが、眠れない。 完全な時差ぼけ! 結局少しうとうとしただけで部屋を出ることになりました。

 USA_PING社のフィッティング研修講師のスコットさんの挨拶のあと、用意された バスに乗りヘッド製造工場(ドルフィン社)へ移動! これが怖い怖い。 片側5車線道路の3車線分を、一気に車線変更するので驚きました。 車間距離もとても短くレーン変更も頻繁で<運転が荒い>という印象で、 レンタカーを借りるのが怖くなってしまいました。

 30分ほどで到着した工場は平屋で比較的小規模という印象でした。ここではヘッドを鋳造方式で製造し荒研磨&熱処理までが担当のようです。


 現地1月23日 午前9時にドルフィン社工場見学開始。 ヤマハで働いているとき、タイの子会社や台湾の外注で同じような工場に出入りしていたので、 とても懐かしい臭いと風景で、昔のことが思い出してしまいました。懐かし〜

 働いている人の作業レベルや工程管理は、台湾の超一流ヘッドメーカーの方が 上かもしれないと感じました。しかし、この工場はピンのヘッドしか製造していないので 本社からの指示を守り大切に生産していると感じました。効率やコストを追うだけでなく ヘッド作りへの愛情を感じました。



↑ まずは溶けたワックス(ろうそくのロウに近い)を金型に射出して、ヘッドの形状に成型



↑ このランナーに16個ほどのヘッドが取り付けられてている。木のように見えることからツリーと呼ばれる



↑ 次にセラミックの粉を吹き付ける



↑ ここまで来たらワックスが溶ける温度まで暖め、セラミック型からワックスを流し出す。これで鉄を流し込む準備が完成だ



↑ ステンレスの温度は約2000度。水分などが入ると爆発する危険な作業です。全て手作業で命がけですね。この風景もどの工場も同じと感じました。工場内でもここの部署で働く人の給与が高いのは言うまでもありません



↑ 常温になったらツリーごと大きなハンマーで叩いてセラミックの殻を落とします。この段階で出来上がったヘッドが見えてきます



↑ 切り離した部分の出っぱりをサンダーで研磨して綺麗にします。ここま来てやっと完成品に近いイメージになってきました



↑ 最後に再度、オートクレーブ(写真の丸い機械)で真空にして高温で熱処理します。この行程がしっかりしているので、PINGのアイアンはステンレスながら角度調整が可能になっているのです。素晴らしい〜♪ この行程で、ドルフィン社での作業は終わり。出来上がったパーツは、車で1時間ほど離れたカーステンマニュファクチュアリング社(これはピン本社の正式名称なのかな)へ送られるそうです。



↑ 小ロットの生産に対応したラインで、大切に生産している感じを受けました。ただし、ライロフトの調整でネックをつかんでヘッドを大きなゴムハンマーで、ぶっ叩いているのには驚きましたが。。。
 アイアンとパターは100%この工場で生産されているようです。ドライバーとFWは中国工場で生産されているヘッドを組み立てているようです。
 総合的な感想は、この工場ではクラブを工業製品と言うより道具として生産しているということです。売れすぎると急激な増産ができないのが心配ですが・・・



 アメリカンスタイルの昼食を取り、近くにあるR&Dセンターへバスで移動。結構大きな道路に面していて、300ヤード以上打てるフィールドが見えてきました。こんな良い場所に・・・。いかにピンが古くからここにあるか感じました。

 まず中に入ると、建物内にプレーヤーが試打できる打席があり、いろいろな測定器が目に付きました。そこは、VIP専用のフィッティングルームとのことでした。ツアープロやマイケルジョーダンのような有名人が出入りしているようです。

 さらに奥へ進むと、スイングロボットが設置されたスペースが。ロボットを使った測定やシュミレーションの専門家が、詳しく説明をしてくれました。写真のこのロボットは、ピン社としては3台目のロボットで、ピンマンと呼ばれていて、つい最近稼働し始めたとのこと。

テークバック時にはフェースを開くように腕の捻転動作が入り、ダウンではフェースが閉じるように動きます。インパクト前に、手首のリリース動作が入るようになっています。私もたくさんのスイングロボットを見てきましたが、一番理想のスイングに近い動きができるロボットと感じました。

 アメリカでは腕のローテイションは必要という意見が大勢を占め、日本のスイング理論とは違いを感じました。私の考えるスイングにとても近いです。

 打ち出されたボールはトラックマンと呼ばれるレーザー追跡装置(これは軍事技術が民間へ流れてきた装置とのこと)で計測され、弾道計算を経て画面に表示されます

 左の画面の数字で驚いたのは、ミート率が1.5を超えていること。従来の理論では1.5以上はあり得ないことでしたので驚きでした。さらに画面に表示されている落下角が大切と説明を受けました。この角度が45度以上になると、ランが、ほぼ0mになり、トータル飛距離がロスするとのこと。私も気付いていることですが、改めて大切な要素と感じました。

 ボールは全てタイトリストのPRO V1を使用していました。理由は、製造上のバラつきが少ない、プロの使用比率が高い、トータルの信頼性が高い、と言うことでした。驚いたのはロボット測定には、新品ボールを1度しか使用しないとのこと。かなりこだわっています!

 次にヘッドとボールの衝突シュミレーションのソフトを見学しました。これは有限要素解析ソフトの一種と理解しました。車の衝突をシュミレートする映像をテレビ等で目にすることがありますが、同じ類のものです。

 この解析にはボールの要素をどのように考えるかが大きな問題になります。ボールは金属のような弾性変形でなく、粘弾性変形という現象が起きますので、とても難しいそうなのです。解析に使用しているのはロボットテスト同様プロV1。 相当研究して高速度カメラで測定した数字と、ほぼ同等のシュミレーション結果が得られるようになったとのことでした。これは凄いことです。 ここまでV1でテストしているとなると、PINGのクラブのベストマッチは、このボールしかないですかねぇ〜 。

 次に案内されたのが、パターをフィッティングする施設でした。高速ビデオが2個設置されていて、実際に打ったボールの回転やヘッドの入射角を確認しながら、ライ角やロフト角を決めるそうです。インパクトしてボールが跳ねている状態はロフトが少なすぎる、インパクトロフトが最適化されているとカップイン率は大幅にアップするそうです。パターだったら普通の家庭用ビデオでもシャッタースピードを上げると、ボールの回転やインパクトロフトが確認できますね。

 横には実験に使っていると思われるストローク・ロボットがありました。ヤマハで設計部門に在籍していたときに、同じようなロボットを使っていろいろ実験していたので、とても懐かしい感覚でした。


 その施設での最後の部屋へ案内されて驚きました。金色のパターが棚に一杯並んでいる部屋があるのです。これはUS ツアーでピンパターを使用して優勝したプレーヤへ送る、ゴールドパターのレプリカだそうです。この部屋に並んでいるパターは金メッキだそうですが、選手に送られるゴールドパターは本物の金塊でできているそうです。欲しい・・・。


 当然、優勝時に使用していたモデルで精巧に作られています。美しい!

 これで長い一日が終わりました。ちょっとハードすぎ!疲れたな〜 。。。


 現地、米国2006年1月23日 早朝からPING社の経営陣との懇談会。現会長。現社長を初め、偉い人がみんな集まったと言う感じでした。会話の中では、日本市場は有望で期待しているようだが、日本がどんな市場環境かは情報も理解も不足していると感じました。少なくとも日本人の話を聞いてみようと言う気があることはわかったので、これから大きく変わるかもと感じました。


 懇談が終わり、現会長とピンパターの第一号試作品ともに記念写真。


 その後、アイアンフィッティングの講義が3時間!これがきつかった。内容は良くわかり参考になることが多かったです。


 午後は車でムーバレーGCへ移動して練習場でアイアンフィッティングの実践です。普段やっていることに近いので、それほど苦にはならなかったのですが、野外での活動はとにかく喉が渇く・・・。聞くと湿度が10%前後とのこと。少し会話をしただけで喉がからからです。アメリカの練習場らしく、全面芝の打席から2ピースボールで打つ感覚は最高です。日本の都市近郊にそんな練習場が欲しいですねぇ。

 研修が終わり、一緒に参加していた方々は日本に帰られましたが、私は一人の残って、現地のお店の視察やゴルフをしてきました。

 せっかく来たので少しは観光もと考えて、滞在しているフェニックスから車で2時間くらいのセドナ(昔こんな名前のパターがあったな)へ行きました。朝日が登る時間に到着と考えて、出発は午前5時。高速道路I-14を北へ向かいました。1時間も走ると照明もなくなり、横を走るのは大型車ばかりで怖かったです。。。到着したら綺麗な景色で感動しました。来て良かった!

 適当な場所が見つからないので、マックで朝食と思い探しましたが、馴染みの看板がなかなか見つからない。

 15分ほど迷走してやっと発見! 周りの景色とマッチするように考えられたショッピングモールのなかで、景色にとけ込んでいたので、目に付きにくかったのでした。でも良いですね!こんなマックが札幌にあっても良いかな!

 フェニックスへの帰り道も景色の良いところがたくさん! もう少し走ればクランドキャニオンですから、当然と言えば当然です。

 疲れた脳が癒される感覚でした。リタイヤしたらこんな所で暮らしたいと思いました。今回の研修は、非常に特別な研修で、日本からわずか数名が選抜されて行きました。とても充実した研修になりました。やはりクラブが産まれる環境を知ることに、大きな意義を感じました。私もPINGばかりを売っているワケではありませんが、このコンセプトに合致するゴルファーには、お勧めしたいと思っています。














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