中古ゴルフクラブ・ネット・並行輸入
中古ゴルフクラブの問題点
中古クラブ シャフトの劣化の恐怖
意外と思うゴルファーの方もいらっしゃるかもしれませんが、シャフトは劣化します。「シャフトは、ゆっくり腐る生ものだ」という感覚を持った方がいいでしょう。金属疲労という言葉がありますが、スチールシャフトにはズバリそのような現象が出てきますし、カーボンシャフトも永久に使えるというものではなく、ロボットに打たせ続て耐久テストをすれば、あるタイミングで折れるものなんだ、という事は認識しておく必要があるでしょう。
おろし立てのシャフトは硬く、実打したときのデータも1発目は異常にバックスピンが少ない球が出たりします。何球か打っていくうちに徐々にシャフトが動くようになっていき、バックスピンも本来のシャフト特性に応じた数値に変化する事は、我々専門家からすれば、けして珍しい現象ではありません。
そういうものですから、おろし立ては硬く、実打を続ける事で、ちょうどいいしなりや弾きが得られるようになり、それが使用頻度に応じてある一定のピークを迎えると、今度はシャフトが部分的に動きすぎて、腰が抜けたような感じになってきて、弾きや押しといったテイストがなくなってくる時期を迎えてきます。最終最後に折れるという事は、やはりカーボンも、金属のように徐々に劣化が起こっているという事です。
状態が悪ければ、それがシャフトの動きとしてボールを打った時の結果に反映される事があっても不思議ではありません。ましてドライバーは一般的に練習頻度が高いので、その分シャフトへの負担は蓄積されていると考えて良いでしょう。実際に悪影響が出てくる時期はシャフトの設計や素材の性能次第で、個体差も大きいので明言できませんが、 過去に実際あった例で言うと、ツアーADのあるモデルは、腰抜けが非常に早く発生し、驚いた経験があります。
外見はどうあれ、シャフトには寿命があるのです。旬を過ぎて緩くなったシャフトは挙動の再現性が悪くなり、結果のバラツキが多くなったり、弾きや押しが落ちることで飛距離が落ちたりもします。
カーボンシャフトだけでなく、もちろんスチールシャフトでもこの様な現象は起こります。
N.S.950は、数年使うと金属疲労のような感じが出て、多くの場合で腰がなくなります。週1回の練習頻度で、年間40ラウンドすれば、そのような状況になっても不思議ではないと思います。折れたりするワケではないですが、活きが悪くなってくるという感じです。
「なんかちょっと球筋がまとまらなくなった」「飛距離が落ちてきた」というような弾き感や勢いが悪く感じてきた時は、疑ってみる価値はあるかもしれません。N.S.950なら3年目から、ダイナミックゴールドなら5年目からは、過去の使用頻度に応じてそろそろといったところでしょう。
一見、傷が少なく見える中古ゴルフクラブでも、全オーナーが激しい練習量だったゴルフクラブは、次のオーナーが掴んだ時点で活きが悪くなっているワケだし、まだ賞味期限が残っていても残りわずかということだってあり得るということで、前のオーナーが何年間所有して、どんな頻度で使ったか見当もつかない中古ゴルフクラブというものは、やはりリスクがあるという認識は忘れないで欲しいところです。
N.S.950に代表される軽量スチールシャフトにはそういう傾向が強く見られます。もともとダイナミックゴールドが、スチールシャフトとしては何十年間もトップブランドとして君臨しているワケですが「それより軽いものを作ると耐久性に問題が出るね」というのは、各シャフトメーカーも理解しているはずで、それで「やっぱりまずいんじゃない?」ということで各社作らなかった部分があると思います。
現に軽量スチールシャフトは昔から存在はしていたのですが、よく折れたし、球は曲がるので「どうかねぇ?」という部分はあって、大きいメーカーの主要ゴルフクラブにはそういうシャフトは付けてこなかったし、逆を言えば、そういうシャフトは総額が安いようなコストダウンタイプのゴルフクラブだけに使われてきた経緯があり、やはり物の質として、そういうレベルのものだと私自身も思います。
だから、特に軽量スチールなどで、なおかつヘタっているものを使うのは、ナイススイングをしてもいい球が出ない可能性も出てくるし、毎回不安定な結果になることも考えられる訳で、それはスイングを作るときの道具として適していないと言えますね。そのクラブを使ってゴルフを上達しようと思うのは、ある意味遠回りだとも言えるでしょう。
あなたはクラブを見ただけで、どれくらい使い込まれたシャフトなのか、判断する事が出来るでしょうか?中古ショップで試打した時に、その程度を判断できるでしょうか?
中古クラブ 調整済みライ角問題
当店にフィッティングにいらっしゃったお客様で多いケースですが。今お使いのゴルフクラブを測定してみると、ちょっとあり得ない数字になっている事があります。
そこで「このゴルフクラブは新品でご購入ですか?」と聞くと、大概は「このゴルフクラブは中古で買いました」と。「これは前のオーナーが、相当ライ角をいじってますね…」と言う話しの展開が定番的によくあります。そしてそういう方のゴルフスイングを拝見すると、自分に合っていないゴルフクラブを使って、何とか結果を出そうと頑張って崩れてしまったゴルフスイングだな。という印象を受ける事が多々あります。
これは十分、中古のゴルフクラブを買うリスクですよね。せめて当店でライ角フィッティングだけでも受けた方がいいでしょう。これも誤解が多いのですが、ライ角はカタログ値に整えれば良いというものでもありません。当店にも「カタログ値にライ角を調整して下さい」というお客様がいらっしゃることがあります。カタログ値もメーカーが設定した「このゴルフクラブを使うであろう人物像」を、ある意味適当に決めて設定した物に過ぎません。
例えばあるメーカーのアスリートモデルが、身長175cmの人物を設定してライ角を決めたとしても、実際に使う人の腕の長さが標準体型より長かったり短かったりすれば適正なライ角は変わります。また、いかり肩やなで肩などでも結果的に構えた時の腕の長さに影響が出ますし、足の長さの長い短いでも当然変わってきます。適正なライ角というものは、個人ごとに違っていて、ライ角1度の差は球筋に大きく影響します。たった1度と数字は小さく見えますが、それが150y先に対してという話しになればどんどん目標に対して大きなブレとなってボールはズレて着弾し、またそれにサイドスピンがかかっていれば、ランが出たときに更に目標からボールが遠ざかる事にもなりますので、手に取ろうとしている中古のゴルフクラブが、どういうライ角設定になっているのかは、皆さんが考えいてるより重要だという認識を持たれるといいと思います。
最近はライ角調整という言葉も一般的に通じるようになってきた反面、そういう個別の調整が入っているゴルフクラブを、中古品としてそのまま手に取ってしまうことも考えられます。
例えばアイアンを自分用に調整して使い続けて、それを手放す時に、わざわざカタログ値の角度に戻して売る一般のゴルファーはいないでしょう。戻すのにも調整料が必要なワケですから、それはしないでしょう。それにライ角の状態は大手中古ゴルフクラブチェーン店でもチェックされず、変更調整かけたライ角を戻しても戻さなくても、買い取り価格には反映されないのですから、お金をかけてわざわざ戻してまで売る人はいないと考えるのが普通だと思います。
それを掴んだ次のオーナーは、ゴルフクラブがいわば曲がった状態で手に取るワケですし、そういった基本情報なしでゴルフクラブを買い、そのまま使うことは極めてリスクがあるという事になります。もちろんそういった、自分の体型や体格に合っていないゴルフクラブを使う事は、ゴルフの上達に全く適していない状態であることは十分ご理解頂きたいです。
よく「練習で下手を固める」などという言葉がありますが、こういう自分に合っていないゴルフクラブを使ってしまっては、いくら一生懸命に、ゴルフに前向きに、真剣に、正しく練習をしても、飛んでいくボールは曲がるのです。ゴルフクラブに合わせれば、曲がっているゴルフスイングが正しいゴルフスイングだったりするのです。でもご本人は曲がったゴルフクラブで真っ直ぐ打とうとするので、ゴルフスイングを歪めないと真っ直ぐ打てません。これを続ければまさに「下手固め」になってしまいます。
まず、どんなゴルフクラブを持つか?それが大切です。年に2~3度のゴルフで、その場をエンジョイしたい方はそれで十分だと思います。しかし、本気で上達したいと考えているゴルフに真剣に向き合おうとしている時にこういうリスクをわざわざ自分から背負う必要はないと思います。アイアンを手にとって構えた時に、「このゴルフクラブちょっとアップライトだね」「ちょっとフラットだね」と言える方は問題ありませんが。そこまでゴルフクラブのスキルがある一般的なゴルファーの方が、一体どれだけいらっしゃるのか…心配です。
中古クラブ カスタム組立問題
純正シャフトなどが装着されたドライバーを買って、後でリシャフトする人が非常に多くなっています。
「改造ゴルフクラブ」と聞くと、ちょっと不安を持つ方は多いと思いますが、この行為も立派な改造行為で、中古ゴルフショップに買い取りに出すとリシャフト品は査定価格が下がってしまいます。それを逃れるための行為として、シャフトの差し戻しをする人が結構多いと聞きます。
このシャフトの差し戻しのリスクも、中古ゴルフクラブの注意点のひとつでしょう。
メーカーで装着されたシャフト抜いて取っておきつつリシャフトして使い、そのゴルフクラブを売る時に、元のシャフトを差し戻して中古ゴルフショップに売る人がそれなりにいる聞きます。リシャフトしたシャフトは、オークションなどで「抜きシャフト」として単品で取り引きされていますので、探せばその現実が垣間見れると思います。
最初に標準シャフトを外す時には、基本的には結構な熱(100℃程度)をかけないとクラブヘッドとシャフトが離れません。カーボンシャフトは、カーボン繊維をプラスチックで固めたもので、そのブラスチックは100℃のストレスを与えると確実に劣化し、そのまま使うといずれ折れる可能性があります。一見するとピカピカの標準シャフトですが、ボールとクラブヘッドの衝突時に極めて大きな負荷がかかるボーゼル周辺の強度が落ちていて、折れる危険性をはらんでいるゴルフクラブになっている可能性があるのです。いかにも純正品に見える改造品があって、それは一見してもわかりませから、出所は確かな物を手に取った方が間違いはないと思います。
昔はソケットという部分を見て、そのパーツが純正品でなければ差し戻ししていますねという話しで改造品扱いの価格になっていましたが。そのソケットも今は合わせる事が出来るので、プロでも見分けがつかないゴルフクラブもたくさんありますから、特にドライバーを含めたカーボンシャフトのモデルの中古ゴルフクラブは安心出来ませんね。
また特殊な組み立てとして、例えばドライバーのミート率を上げるためにシャフトカットするゴルファーもいますし、逆にヘッドスピードを上げるために長尺にして組む人もいます。先端を1インチ以上短くして組んでいるゴルフクラブは、当然1フレックス分以上硬く感じるシャフトになりますから、Sだと書いてあってもXシャフトになっているゴルフクラブを買ってしまっている場合もあるのです。
アイアンでいうと、これは一般的にほとんど知られていないことなのですが、アイアンのヘッドには「スチールシャフト用」と「カーボンシャフト用」の2種類があって、同じ番手でも重量が7gくらいずつ違います。これはカーボンシャフトは軽く、スチールシャフトは重いので、それに見合った重量のヘッドを先端に付けないと、異常に重く感じるゴルフクラブが出来上がったり、異常に軽く感じるゴルフクラブが出来上がったりしてしまうからです。
あまり深くは覗きませんが、ネットオークションの出品物を見るとゴルフクラブの総重量やレングス、バランスの数値などから、これは前記の様な無茶な改造をして、上手くいかずに手放す物だなと感じるゴルフクラブを見かけた経験があります。もっとマニアックな例で言うと、シャフトの番手ずらしなどの特殊な組立を疑えるものもあります。
私自身、現物を手に取り普通に組まれたゴルフクラブを横に置いて比べないと、何をどうしているものか判断付かないゴルフクラブも多い現実の中で、一般のゴルファーの方がどこまでそういったゴルフクラブを見分けられるのか?また見分けられたとしても、それが自分のゴルフスイング作りにどけだけメリットがあるのか?上達の近道になるのか?そういった見極めは、なかなか難しいことだと考えています。
中古のゴルフクラブには、そういったリスクが少なからず含まれている事は、十分ご理解頂きたいですね。
安いと言う事は、そういうリスクも含めて買うという事です。もちろん当たりの買い物もあるでしょうが、くじ引きみたいですね。不安を感じ続けてゴルフをする事は、精神衛生上よくないと思います。自分に合った信頼できるゴルフクラブをズバッと手に入れて、後はゴルフスイング作りに集中する方が、ゴルフの上達にとっては近道でしょう。
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