ゴルフクラブ選び方の基本
レフティ(左利き)ゴルフクラブ選び
レフティはクラブが少ないこと、試打する場所が少ないこと、ましてや、コースボールを使ってリアルな計測データを測定したり、そのデータに基づいてレッスンを受けることなど、なかなかできるものではなく、結果としてレフティゴルファーの上達の足かせになっています。
残念ながら日本では、日本人用に設計された左用のゴルフクラブがほとんど流通していないに等しい状況です。結局レフティゴルファー達は、自分の活動範囲の中で、身近にあるゴルフクラブを手にとってゴルフをしてしまっているという現実があります。しかしそれはもったいないことです。
やはり体型や体力に応じて道具を自分に合わせないと、どこかで壁が来て、ゴルフの上達が望めないことは右利きのゴルファーと同じです。特に背が低いとか、腕が長いとか、体力が強かったり弱かったり、イレギュラーなものがあるゴルファーはケアしなければ、悪いゴルフスイングをしないと、ナイスショットが出ない状況になります。
人間は今持っているゴルフクラブで、真っ直ぐ遠くに飛ぶボールを打とうと一生懸命練習します。
ほとんどのゴルファーは、ゴルフスイングの練習をしているつもりになっていますが、実際には微妙に振り方を変えながら、根本的にはその時に持っているゴルフクラブで、良いボールを打つ努力をしているに過ぎません。ですから身長の低いゴルファーが、長身のアメリカ人向けのアイアンを手にしていれば、その人本来のゴルフスイングからすれば、不自然にアップライトなゴルフスイングをしないと、そのアイアンではボールは真っ直ぐに飛ばないのです。
そのゴルフクラブを使い続ける限り、変則的なゴルフスイングを続けることになります。そうやってゴルフスイングが刷り込まれたとき、ドライバーの調子はどうでしょうか?ドライバーをアップライトなゴルフスイングで振れば、スライスで悩まされることになるでしょう。
ある意味、ゴルフクラブがゴルフスイングを作っているという事実は、右利きもレフティも同じです。ゴルフクラブの選択肢が少ないレフティは、右利きと比べたら明らかに不利な面があります。それでもやり方によっては、今よりも飛躍的にいいゴルフクラブを手に取れる可能性があります。早期に対応することが望まれます。
なぜこれほどまでにレフティのゴルフ環境は厳しいものなのでしょうか。今回、ここではゴルフクラブの設計から販売まで携わってきた私なりの見解と、その対応方法として、私のスタジオでどんな準備をしているのかをご覧に入れたいと思います。きっと、全国のレフティゴルファーの方々のお役に立つと思います。
レフティゴルファーへのメーカー対応
まず、レフティにとって悩ましいのは、メーカーの対応力でしょう。
例えば米国ではタイトリストではほぼ全モデルのレフティク用(左利き用)ゴルフラブがありますが、日本で売っているのは、その中の極めて一部しかなく、米国と同様に左利き対応しているワケではありません。
また、カタログにあっても、実際には取り寄せで1ヶ月かかったりするのが一般的です。さすがに1ヶ月と言われると熱も冷めてしまう。
それならすぐに手に入る物となって、慌て、そして妥協して手にした新しいゴルフクラブが、そのゴルファーにとって本当にいいゴルフクラブかどうかは怪しいところです。
さらに通販などで、無理して、あるいは何も知らず米国物に手を出すと、必然的に背の高い人向けのアメリカンライ角になっているモデルを買うことになります。背の高い人は大丈夫ですが、そうではない人で無理矢理使っている人を多く見かけます。合わないライ角でゴルフスイングを続けると、ゴルフスイングが壊れます。
今までいいゴルフスイングだったゴルファーも、ゴルフクラブが変わればゴルフスイングが変わります。ゴルフクラブ選びで自分のゴルフを悪くされたくはありません。しかし、メーカーはそこまで責任を持ってはくれません。
米国ではちゃんと左用の金型があって、普通に流通させているのに日本ではやらない。このような例はほとんど全てのゴルフメーカーで起こっています。
効率化の名のもと、社内の管理がしやすい方向へ舵は切られ、日本国内において少数派のレフティ用(左利き用)ゴルフクラブは、1モデルか2モデルありゃいいでしょ、的な感覚で済まされていて、ことごとくないがしろにされているのが現状です。
売れる数が少ないのに、そんな細かいことは面倒だからやらない。そんなふうに見えてしまうのは私だけではないと思うのですが、皆様はいかがでしょうか?
レフティゴルフクラブの完成度
全てがそうだとは言いませんが、組み上がった左用ゴルフクラブは出来が悪いケースがあるという現実もあります。
一般的なゴルファー達がありがたがって高額を支払う、名の通った大手メーカーでも、左のクラブヘッドになると「えっ、こんな向きでいいの?」というものは意外と多くあります。私が違和感を感じた物があって、それを手に取ったレフティのお客様が「北市さん、この挿し方で大丈夫かい?」と聞いてきたこともありましたので、私だけの感覚のズレとは言えないものがあります。
結論から言うと、作る側の人間がほとんど右利きである、ということが原因だと思います。
右利きの人は右のクラブヘッドを見慣れていて、少しの問題があっても、それが違和感として感じ取れるけれど、左はそもそも存在自体に違和感があって、やはりよくわからないというのが現実でしょう。左利きは左利きの人が設計から組み立てまで管理をしないと、本当はダメなのでです。
しかし、左打ちでゴルフの設計をしている人、左打ちでゴルフクラブの研磨をしている人、左打ちでゴルフクラブを組み立てている人は、ほとんどいません。コンピュータで右の設計図を作って反転させて、コレで作ってくれというオーダーを出して金型を作るワケですが、その出来上がった金型が発注通りになっているか、メーカー側が調べる検収の段階での精査からして甘いでしょう。左利きのゴルフクラブを自信を持って見れる人が、とにかく少ないのです。
私はメーカーでゴルフクラブを設計もしていましたし、こういった製造現場もよく知っています。もちろん自分で左利きのゴルフクラブを組み上げることもあります。今までの経験から、左に対する感性も持ち合わせているつもりです。しかし、私でも左利きのゴルフクラブを見るのは難しさを感じます。右のゴルフクラブの数倍のパワーを必要とします。軽々しく、レフティ歓迎、大丈夫、大丈夫と言う人は、ちょっと疑ってかかったほうがいいくらいでしょう。
私の感性や経験で、右を反転させただけにしては、明らかにおかしいゴルフクラブが現実に存在しています。
SGAゴルフレッスンスタジオでは、そういったモデルは排除して注文しません。レフティ用ゴルフクラブのモデルがたくさんあればいいというワケではないのです。
やはり本当に大丈夫なものでなければ。私は売れれば何でもいいとは思っていません。
《恐怖》レフティクラブのライ角問題
レフティのゴルフクラブでは、PINGなどのゴルフクラブを除いて、ライ角調整できるモデルが極めて少ないのが現実です。
ライ角は、ゴルファーの体格や体型に関係するような静的なライ角と、ゴルフスイングに応じた動的なライ角があって、それらを総合的に判断して、ゴルファー個々人に応じたライ角で設定すべきです。ライ角はゴルフの上達度合いによっても変わってきますし、いいタイミングでしっかり調整してあげることが、ゴルフの上達にとっては大切なことになります。
しかし、それほど大切なライ角も、調整できないのであれば意味がありませんし、なによりゴルファーとして、そのゴルフクラブを使い続けていいものか不安だと思います。
レフティ(左利き)のゴルフクラブは、売れ行きのいい右のゴルフクラブのオプションのような位置づけに過ぎません。それを嫌って、米国のゴルフクラブをそのまま日本に引っ張ってきているようなところで買えば、そのゴルフクラブは身長の高いアメリカ人仕様なワケです。
どうしてここまで不便なのか。その理由のひとつに金型のコスト問題があります。左用鍛造アイアン金型を持つというのは、メーカーとしても、大きな金型リスクを抱えることになるのです。
金型投資は、1番手300万円が相場。10本分で3000万円かかります。1番手分だけでも実はたくさんの金型が必要で、例えば穴を開けるだけでも専用冶具(じぐ)が1個必要で、いろいろ集めるとこれくらいの額になってしまいます。メーカーにとってこれは大きいことなのです。
でも、ステンレスのような流し込みで作れるものなら3万円でできます。とんでもなくローコストだから、アメリカ人が「鍛造なんて、なんでそんなもんにこだわるんだ?」と言うのもわかります。
彼らはライ角やバランスなど、細かいところにこだわらない傾向が強くあります。よって、米国製ゴルフクラブのレフティ鍛造品などは、作られる機会が少ないというのが現実なのです。
クラブ調整する人にも問題がある
例えライ角調整できるレフティ用ゴルフクラブがあったとしても、調整する人の技術の問題はどこまでもついてきます。
SGAゴルフレッスンスタジオでも、レフティのライ角調整が入った場合は、調整をする機器の設定を、全て逆向きにしなければならないので大変です。また、ライ角を曲げて調整するという行為は機械ではなく手でやりますので、超感覚的な世界なのです。
私としても右の経験の積み重ねで、3次元的な動作がライ角調整のコツとして蓄積されているので、突然に逆向きでやってくれ、と言われてもなかなか難しいものがあるワケです。レフティの方が右利きのゴルフスイングを突然やるのと同じだと思います。
ライ角調整というものを勘違いしている人も多いのですが、アイアンを曲げるというのは、ライ角とロフト角が連動して動くものなので、非常に複雑で真似事はできるのだけど、完成度はさほど高くないというのが一般的なのではないかと思います。
そういう感覚的な物がまるまる反転していて、なおかつ0.5°単位の緻密なものでもあるワケで、実はものすごく大変な作業なのです。右利きの人が、右のゴルフクラブのライ角調整をすること自体、かなりの神経を使うことなのですから。自分も左のゴルフクラブ1セットの調整を毎回四苦八苦してやって、慣れ始めたら調整自体が終わりという感じです。
正直言って、こういう作業はちゃんとできない店も多いはずです。ごく普通のお店なら出来れば受けたくない仕事なはずです。
何事もそうですが、特にこういう仕事は個人の能力に担保されています。ライ角などは方向性にとって、ゴルフスイングにとって、非常に大切なものです。信頼できるマイスターを探したいものです。
レフティに夢のようなフィッティング
SGAゴルフレッスンスタジオには、日本にたった6台しかないフィッテングカートがあります。
クラブヘッドとシャフトがセパレートになっていて、その場で脱着式で組み立てることで、ドライバーもアイアンも数百種類の組み合わせが瞬時に出来上がり、試打することができます。
この恩恵に一番あやかることができるのが、レフティゴルファーの方々です!
各メーカー、左を持っているのが1モデルか2モデルですが、PINGだと無限とまではいきませんが、驚異的な状態で、実に細かいスペックのゴルフクラブがその場で作れて打ててしまうのです。
具体的には、例えばG10ドライバーなら9°/10.5°/10.5°ドロー/12°の全ロフト角があって、シャフトはPING標準シャフトの中から全シャフトが挿せるのです!
おなじ10.5°でも、レフティでドローモデルが打てるのは、日本では極めて極めて珍しいことです。
根本的にレフティにとって、計測して打つ場所の問題というのは根深いものがあると思います。圧倒的に打てる環境がないのです。
でも、当ゴルフレッスンスタジオの次元はまったく違います。
当ゴルフレッスンスタジオの打席は間口が広いので、レフティにも対応しています。1台、高速度カメラが対応していませんが、精密計測機器が利用できます。そして何よりも、数多くのレフティの方々のフィッティング実績があり、成果を出されている方がたくさんいらっしゃるのです。
ここでご紹介したPINGは、基本的に米国人向に設計したモデルが多いので、ヘッドスピードが43m/s以上あると、より良いフィッティングができますが、普通のシニアでも、XXIOを意識した日本人向けモデル、ラプチャーV2シリーズで対応ができますので、体力や年齢を選ばずに、まずはフィッティングを受けてみてはいかがでしょうか。
まずはこのホームページを隅々まで読破してみて下さい。
今まで聞いたことがない話しが、たくさん書かれていると思います。
そしてご興味を持った方は、一度、『おまかせCコース』でレッスンとフィッティングの融合を体感してみて下さい。
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