中古ゴルフクラブ・ネット・並行輸入
ネット購入したゴルフクラブの問題点
ライ・ロフト計測機器の問題
今までの話しを受けて、それなら最安値の新品ゴルフクラブをインターネットで買って、それをショップに持って行って、調整をしてもらえばいいんだろ、と思う方もいらっしゃるでしょう。実のところ、もう一段問題がありますので、これを機会に認識されておくといいと思います。
当店にご来店いただいたお客様に、こんな鋭い指摘をされた方がいらっしゃいました。
「今まで、札幌近郊にある複数の大型量販店に出入りを続けてライ角調整をしてきたが。どうやら計測する人によって数字がちょっと違う。数字が変わっているとかが続いて、何を信用していいのかわからなくなった」と。それで当店へ、いらっしゃったのですが。実は使っている機材によって、こういう事が明らかに起こるという事は、私としては常識です。
大きくはふたつの要因があるのですが。ひとつは計測に使う機材の問題です。
これは意外と思われる方が多いと思いますが一般に流通しているライ角・ロフト角の計測器に、良いモノが少ないという現実があるのです。
ロフト角の話しは除外するとして、ライ角の測定器だけに関して言うと。シャフトを掴むタイプの測定器という物があって、それであれば破綻なく機能すると思います。シャフトを掴んで固定して、人の手で台座とスコアライン(フェースの溝)を水平に合わせて、結果としてシャフトとスコアラインの角度を計測してライ角とするのが一般的です。別の考え方としては、ソールしたときに地面に接地する船底の頂点を使うやり方などもありますが、まずシャフトを掴むタイプであれば、機材としては信用おける部類だと考えていいでしょう。
その一方で、代表的なところではフォーティーン製の計測器などに見られる方式なのですが。シャフトを掴むのではなく、フェースを掴むタイプの計測器があります。これは実際に計測したことがある人でないとピンとこないと思いますが、ヘッドを掴むという事は、何を基準にした掴みなのか不明瞭になりやすいものなのです。ヘッドを掴んでシャフトの角度を測定するので、掴み方が変わると数字が変わるのです。
シャフトを掴むのであれば、誰がやっても変わらないし、再現性もあるのですが。ヘッドを掴むという事に関しては、再現性がなかなかないものなのです。前ページ『未調整ゴルフクラブ問題1』の表のとおりですが、ライ角自体が0.5°の世界なので、ちょっと掴み方がズレただけで、それがそのまま数字に直結するワケです。このようなフォーティーン製の計測器が、市場にはかなりの台数、流通しているのです。
そして要因の第二点目になりますが。その様にヘッドを掴むタイプの計測器の場合、「これが、このヘッドがピタッとはまっている状態だよね」という基準が、計測者の感覚によって違うという事です。
そもそも、当店の特注品の計測器を含めて、どんな計測器を使っていても、完全というものは無いと言っていいでしょうが。あまりにも不揃いなものはどうかと思います。少なくとも調整は同じ人にやってもらえる状況が望ましいでしょう。人間を固定すれば前と比べてフラットにする、アップライトにするといった時の「前」に対するブレが少ないですから。人が変わってしまうと「前」自体の数字が変わってくる可能性が大いにあるので注意した方がいいでしょう。
そもそも、グリップ挿入ひとつにとってもメチャクチャな店員さんが、そのままライ角計測もしているという現実があるワケです。
お客様のゴルフクラブを拝見して「このグリップ、どうしてこういう向きに挿すのかな?」と思って「お客様、ご自分でグリップ交換されましたか?」と聞くと「あの店でやってもらいました」という耳を疑うような話しが、少なくとも当店においては多いのですから、調整と名の付く行為を経ていれば、どれも同じではなく、調整もピンキリで、改良もあれば改悪もあるとこう現実をご理解いただきたいですね。結局は、技術力の差です。
ちなみに当店の計測器は、シャフトを掴んでスコアラインを調整してライ角を計測しつつ、それに対してフェース面をスクエアに向けてからロフトも計測するような仕組みになっている特注品です。ヤマハで設計をしていた時代に使っていた計測機器を作ってもらっていた製作所に発注して、作っていただいた計測器を使っています。
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