ゴルフクラブメーカーの実態と評価

SYB VESPO FC-614 スピーダー70FW TM-39/S

スピーダーの構造を持ったフェアウェイ専用のシャフト。余談になるが、意外と一般的には知られていない事に、フェアウェイ用のシャフトという、素管で43～42インチ程度で作られているものがある。あまりカットする必要がないので、本来の設計値に近い性能が出るゴルフクラブとして組む事が出来るのだ。例えばドライバー用シャフトの素管は46インチなので、フェアウェイウッド用に手元側を大量にカットすると、手元側の太くて剛性がある部分がカットされてしまうので、本来の設計者の意図しない部位だけで、部分的な抽出をして使う事になり、結果はよくない事が多い。必要な部分に必要な3軸カーボーンが割り当てられて、それが残された状態で使えるフェアウェイウッド用のシャフトを使う事は、手にとって間違いのない道具への第一歩でもある。

このシャフトはスピーダーの特徴があって、しなり戻りが速くて、スイングリズムが良ければ右へは逃げる事が無い。しかし叩くと右に逃げる傾向はあるので、クラブヘッドにローテーションのない人とは、つかまらないという事になる。左が怖い人にはいいシャフトでもある。ドライバーで3軸4軸のシャフトを使っていて、フェアウェイウッド用に、なにか安くて良いゴルフクラブがないかという要望があった場合には、シャフトもドライバー用の半分くらいの価格なので、検討の価値があるかもしれない。

クラブヘッド単体の性能や特徴に関して。クラブヘッドは2003年頃にデビューしていて、非常に息が長いモデルになっている。低重心、かといって打ち出し角が高くなるわけでもなく、非常にロースピンで良く飛ぶフェアウェイウッドである。#3と#5はキャリーに大きな差はなく、#5だとキャリー後のランが少なく、#3だとランが多くなることで、トータル飛距離に差が出るといっていい。当ゴルフレッスンスタジオの弾道解析装置は、キャリーの飛距離を一定値でカットしてしまっているので、実際はもっと転がって、最終到達距離は遠くまで行っている場合が多いので、その辺を含んでデータを参考にしてもらえるといいだろう。特に#3は、ドライバーとの飛距離差が、あまりないというお客様が多くいらっしゃるのも事実だ。

構造的には、フェース面で溶接せずに、ソール溶接という、今としては非常に珍しいタイプであることが特徴的だ。他メーカーは大抵フェース溶接で、フェース面をレーザー溶接するわけだが、その方が薄くできるので、溶接時間が短くて済むということで、生産効率、コストダウンの観点から、その方法を選択するメーカーが多い中、厚いソールを溶接するこの手法は時間がかかるものの、こちらの方が成果が出るということで、2008年の新モデルもその構造を引き続き採用している。

アゲインストに非常に強いのが、大きな特徴。

2008.5.14

※表中の『ゴルフスイングの分類』は、北市秀男式ゴルフスイング6分類に基づいて解説しています。詳細に関しては、表中のリンクから飛ぶことができます。

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